自火報と消火栓の「表示灯」の種類について

今回は、自動火災報知設備(通称:自火報)や消火栓(屋内消火栓や屋外消火栓)に設置されている「表示灯」に焦点を当てて、意匠配慮事例を紹介します。表示灯と言えば、「三角錐の形(凸型)」のもの一択でしたが、現在は、「フラット型」や、5~6年前に各社(能美防災、ホーチキ、パナソニック)から発売された「リング型」のものもあります。良い事例を基に、紹介していきます。

◆目次

  • 気づき
  • 良い事例1(リング型)
  • 良い事例2(フラット型)
  • まとめ(勘所)

◆気づき

下記の写真は、三角錐の形(凸型)の表示灯が設置されたパターンです。自火報の発信機(火災時に利用者が押すボタン)用の表示灯と、屋内消火栓用の表示灯が、1つの表示灯で兼用されているものです。下記の写真の建物用途は、事務所ビルで、一般的な消火栓BOXと比較すると、BOXはデザインされたもの(スチール枠が無く、指定色塗装の仕様)を使用しているのにも関わらず、表示灯が通常のもの(三角錐の形)となっており、非常に惜しい事例です。なお、ホテルや商業施設などの、不特定多数が利用する施設である場合は、表示灯を「フラット型」または「リング型」とする配慮は、必須事項と考えています。

補足として、自火報の発信機(押しボタン)の為の表示灯は、「50mの包含円」の範囲に1つ設置しなければならず、屋内消火栓は「25mの包含円」の範囲に1つ設置しなければなりません。その為、一般的には、自火報の発信機用の表示灯と屋内消火栓の位置を示すための表示灯は、兼用される事が多いです。

◆良い事例1

下記の写真は、物流倉庫の事務所部分の廊下の写真です。「三角錐型」の表示灯と比較すると、「リング型」の表示灯は、デザイン的な主張を抑えて、スッキリしていることが分かると思います。なお、自火報図面の確認の際、図面に「表示灯(リング型)」の記載があるかどうかを、確認することが重要です。

ちなみに、下記の写真のように、各社(左:ホーチキ、中:パナソニック、右:能美防災)のリング型の表示灯は微妙にデザインが異なります。個人的に、最もデザインが良いと思うのは、「能美防災のリング型表示灯(一番右)」です。見付けの発光面の面積が小さく、とても良いと思います。

◆良い事例2

下記の2枚の写真は、事務所の廊下に設置された「表示灯」です。こちらの表示灯は、「フラット型」のタイプです。物件によっては、リング型を使用せず、「フラット型」の表示灯で統一されていることもあります。

特に2枚目のように、「屋内消火栓」が単体で設置されているときは、「リング型」の表示灯が使えません。理由は、リング型の表示灯は、商品の性質上、自火報メーカーが作っており、自火報の発信機が一体となっている為です。その為、屋内消火栓が単体で設置されるときは、「フラット型」とするか、従来の「三角錐型」とするかの2択です。その為、消火栓の図面確認の際は、図面に「表示灯(フラット型)」の記載があるかどうかを、確認することが重要です。

ちなみに、「フラット型」のタイプにも、色々と種類があります。例えば下記のような、BOXから出っ張りがないような「フラット型」の表示灯もある為、フラット型だからと安心せず、消火栓メーカーに表示灯の「高さ(壁からの出っ張り具合)」を確認する必要があります。

◆まとめ(勘所)

今回は、表示灯の種類について纏めました。勘所は下記のとおりです。

<勘所>
・利用者動線上には、「三角錐型の表示灯」の使用は避ける
・自火報図面の表示灯が、「リング型」となっているか確認する
・消火栓図面の表示灯が、「フラット型」となっているか確認する
・「フラット型」の場合、出っ張りがどの程度か、確認する

本ブログが、皆様のお役に立てればと思います。

以上、また投稿します。

KC

「屋外コンセント」を外壁に設置する際に気を付けること

屋外コンセントを露出して設置する場合(ALC外壁、サンドイッチパネル外壁、押し出し形成セメント版外壁など)は、コンセントボックスが露出してきます。その際に、選定した屋外コンセントによっては違和感を生じる可能性がある為、今回はその注意点(品質性・安全性)についてまとめます。

◆目次

  • 気づき
  • 屋外コンセントプレートの種類について
  • 良い事例
  • 補足)コンセントボックスの規格品
  • 補足)専用のコンセントボックス
  • まとめ(勘所)

◆気づき

下記の写真は、ALCの外壁に屋外用コンセントを設置している写真です。違和感にお気づきとは思いますが、銀色のボックスとコンセントのプレートのサイズが合っていないです。

コンセントを設置の手順としては、「ALC外壁」→「コンセントボックス」→「屋外用コンセント」の順に取り付けております。なお、ALCパネルの構造上、コンセントを埋め込むことができない為、配線は室内側を通し外壁側には見えてきていないのですが、コンセントボックスは露出してきます。コンセント(スイッチ)ボックスは規格品である為、メーカー側が、屋外コンセントを露出設置する為の「専用のコンセントボックス」を用意していない場合は、下記のような取付方法となってしまいます。

また、同じコンセントプレートに関して、なんとか規格品を用いて、コンセントプレートに合わせた露出ボックスを選定しようとすると、以下のようなプルボックスを採用した設置方法となってしまいます。こちらは、性能上は◎ですが、意匠上は△かと思います。

◆屋外コンセントプレートの種類について

以前、ブログでまとめておりますので、下記のリンク先にて説明しております。是非、ご参照ください。

「屋外コンセント」のデザインと選び方について – 建築の勘所ブログ (kc03.blog)

◆良い事例

下記の写真は、コンクリートの壁に吹付タイルを塗装している外壁に、コンセントを露出設置したものです。露出配管が出ていることは、一旦、置いておきまして、、、(笑)

こちらは、既製品のコンセント(スイッチ)ボックスの規格品に、屋外コンセントプレートを設置しています。使用している規格品のコンセント(スイッチ)ボックスのサイズは、高さ(H=119mm)と幅(W=72mm)です。そして、使用しているコンセントプレート(カバー)のサイズは、高さ(H=132mm)と幅(W=75mm)であり、ちょうど良い感じにフィットしていることが分かるかと思います。

◆補足)コンセントボックスの規格品

下記の画像は、パナソニック社のホームページより、電設資材一覧から抜粋しています。1個用ボックスから、6個用コンセント(スイッチ)ボックスまでの画像です。屋外コンセントを外壁に埋め込めない場合、露出設置となり、「露出ボックス」が出てきてしまうため、コストを抑えて工事を行う場合、下記の「規格サイズ」に合わせて、屋外用コンセントプレートを選択する必要があります。

◆規格品一覧

参考までに、「1個用ボックス(DS4911K)」の価格は、¥470

引用:パナソニックホームページより

鋼板製ボックス・カバー | 鋼製電線管 | 電線管 | Panasonic

◆補足)専用のコンセントボックス

下記の画像は、いわゆる「専用ボックス」で、コスモシリーズワイド21の屋外コンセントプレート専用のボックス(品名:薄形配線スペーサ、品番:WK9806)です。こちらを使用すれば、ジャストフィットとなります。

◆専用ボックスについて

↓コスモシリーズワイド21の屋外コンセントプレート

↓上記コンセントプレートの「専用ボックス」

参考までに、価格は、¥1,100

引用:パナソニックホームページより

ワイド21 屋側プレート | 商品ラインアップ | コスモシリーズワイド21 | スイッチ・コンセント(配線器具) | Panasonic

◆まとめ(勘所)

今回は、「屋外コンセントを外壁に設置する際に気を付けること」についてまとめました。外壁に埋め込めず、露出設置せざるを得ない場合は、露出ボックスとコンセントプレートのサイズに注意してください。

<勘所>
・屋外コンセントを外壁に露出設置する場合は、露出ボックスとプレートのサイズを合わせる
・露出ボックスは、「規格品のボックス」と「専用ボックス」がある

本ブログが、皆様のお役に立てればと思います。

以上、また投稿します。

KC

「屋外コンセント」のデザインと選び方について

最近は、屋外コンセントのラインナップが増えてきたように思います。昔は、選択の余地がなく、アイボリー色(クリーム色系)の製品一択だったかと思います。屋外コンセントを選ぶ際のポイントについて、今回は、屋外コンセントの種類「防雨コンセント(鍵無し)」と「防滴カバー(鍵有り)」の「デザイン」比較について、纏めます。

◆目次

  • 気づき(防雨コンセントのデザイン)
  • 比較表(防雨コンセントのデザイン)
  • 気づき(鍵付きカバーのデザイン)
  • 比較表(鍵付きカバーのデザイン)
  • 補足)屋外コンセントの防水性能について
  • まとめ(勘所)

◆気づき(防雨コンセントのデザイン)

下記の写真は、戸建て住宅の外壁面に、最も一般的な「屋外コンセント」を設置している写真です。外壁のデザインに配慮して、木目調のサイディングボードを選定していると思うのですが、アイボリー色のコンセントを設置することにより、少し残念な印象を受けてしまいます。

ちなみに下記の写真は、先ほどのアイボリー色の屋外コンセントを、意匠に配慮された屋外コンセントに変更した写真です。大した金額ではない(およそ「¥1,000/個」の違い)為、ここは、必ず意匠配慮を行うべき箇所だと考えます。

次項で、各社の製品比較を表にまとめましたので、ご覧ください。

◆比較表(防雨コンセントのデザイン)

下記の比較表は、屋外コンセントの主要メーカー(パナ、東芝)の製品比較です。コンセント用のカバーがついている為、雨の日でも使用可能となっているのが特徴です。比較表を見ると、屋外コンセントのデザイン配慮のシリーズは、ともにラインナップとして用意されていますが、選択できる「色の種類」が、「4色」と「1色」と違いがあります。メーカーを選定する際は、気を付けて頂ければと思います。

No. 1234
会社パナパナ東芝東芝
画像
※引用
クリームシルバー
ブロンズ
白、黒
ホワイト
ベージュ
ブラウン
シルバー
型番WK4105WK4602SKDC1092EDC1102E
仕様
サイズ
IPX3
W93
×H121
×D63.5
IPX3
W87
×H126
×D67
IPX3
W93
×H121
×D63.5
IPX3
W87
×H126
×D66.5
雨の日使用可使用可使用可使用可
定価¥1,650¥2,200¥1,800¥2,200
表:防雨コンセント

※引用元

パナソニックホームぺージ
屋外用防水コンセント | 屋外用配線器具 | Panasonic

東芝ライテックホームページ

接地防水コンセント | 配線器具・ライティングレール®(ライティングダクト) | 商品紹介 | 東芝ライテック(株) (tlt.co.jp)

◆気づき

下記の写真は、賃貸マンションのエントランス横の設備スペースの壁面に、屋外コンセント(防滴プレート鍵付き)が設置されている写真です。道路に面している場所の為、黒いタイル貼りの壁である為、アルミルーバーや建具、ベントキャップは黒色に塗らていますが、コンセントは「シルバー色」となっている写真です。エントランス付近は、色合わせ必須の場所の為、こういったことが起こらないよう、各社の製品のラインナップは把握しておくことが必要だと思います。

ちなみに下記の写真は、色合わせを行えている、好事例となります。普段使用しないもの(掃除用コンセント)等は、存在感を消してあげることが重要だと思います。

次項で、「鍵付きコンセントプレート・カバー」について、各社のラインナップをまとめさせていただきます。無人管理の共用部で、「盗電対策」として、鍵付きのカバーを採用することが多いと思います。その為、「鍵付き」に限定して紹介します。

◆比較表(鍵付きカバーのデザイン)

下記の比較表は、主要各社の「コンセントカバー(鍵付き)」の一覧です。屋外のコンセントと言えば、パナソニック社製が有名ですが、TERADA(旧:寺田電機製作所)もお勧めです。今回は、この2社の一覧表を作成しました。今回驚いたのですが、TERADAより、「IPX5」の防水性能のコンセントも販売されているのがわかるかと思います。

No. 参考12345
会社パナパナパナ寺田寺田寺田
画像
※引用
シルバー
シルバー
ブロンズ
白、黒
シルバー
ブロンズ
白、黒
ホワイト
グレー
ホワイト
ブラウン
シルバー
ブラック
型番WTF
7873K
WK
4702S
WTF
7983S
RDS
30000W
RDS
20000W
RDC
50000SL
防水
材質
サイズ
IPX3
金属
W75
×H132
×D36
IPX3
樹脂
W87
×H190
×D78
IPX4
樹脂
W75
×H132
×D17.5
IPX4
樹脂
W73.2
×H142.1
×D22.5
IPX3
樹脂
W70
×H155
×D60
IPX5
アルミ
W73
×H157
×D19.2
雨の日(物によっては)
使用可
使用可使用不可使用不可使用可使用不可
定価¥2,250¥6,800
(コンセント付き)
¥3,200¥1,800¥3,580オープン
表:屋外プレート(コンセントカバー)

※引用元

パナソニックホームぺージ
ワイド21 屋側プレート | 商品ラインアップ | コスモシリーズワイド21 | スイッチ・コンセント(配線器具) | Panasonic

TERADA(旧寺田電機製作所)ホームページ

セキュリティーカバー | ページ 2 | 株式会社TERADA (terada-ele.co.jp)

なお、No.5の製品を使用する際は、気を付けないといけない点がありますので、下記のブログにて、その注意点を紹介しています。

引用:建築の勘所ブログより

「屋外コンセント」を外壁に設置する際に気を付けること – 建築の勘所ブログ (kc03.blog)

◆補足)屋外コンセントの防水性能について

上記の「比較表(鍵付きカバーのデザイン)」において、防水・防滴性能を示す、IPXについて記載をしています。IPX「3」より「4」の方が防水性能が高いことを示しています。清掃程度の使用を想定しているコンセントの場合は、下記の写真(ホテルの大浴場内の清掃用コンセントのカバー)のように「IPX4」を選定するのを推奨します。

引用:蓄電池コンシェルジュホームページより

「IPX(防水性能)」に関する記載は、下記リンク先が参考になります。
蓄電池の防水性能を表すIPXとは?IPX4以上なら雨が振っても屋外で安心して使える! (batteryconcier.com)

◆まとめ(勘所)

今回は、屋外コンセントの意匠性について纏めました。屋外コンセントの「勘所」は、下記のとおりです。

<勘所>
・屋外コンセントは、外壁の色に合わせ「色合わせ」を行う。
・各メーカーの製品のラインナップを把握する。
・「防雨(雨の日でも使用可能)型」と「防滴(雨の日は使用不可)型」があることを理解する。
・普段使用しない清掃用コンセントは、防水性能が高い「IPX4」を選定することを推奨。

本投稿が、皆様のお役に立てればと思います。

以上、また投稿します。

KC

「非常照明器具」の意匠配慮について

非常照明器具の存在感を小さくしたいと思ったことはありませんか?近年、LED技術の発展により、一般照明器具(ベースライト、ダウンライト、ブラケットライトにスポットライト等)だけではなく、5~6年前から「非常照明器具」もLED化されています。今回は、非常照明器具の意匠配慮の方法について、紹介いたします。

◆目次

  • 気づき
  • 比較表(色)
  • 比較表(サイズ)
  • まとめ(勘所)

◆気づき

下記の2つの写真は、共にLEDタイプの「非常照明(埋め込み型)」の写真です。通常の場合と、意匠配慮した場合の2つの写真を見比べると、非常照明の「色」と「サイズ」の2点の違いに気付くかと思います。1点目の「色」について、通常の場合は「白色」の非常照明なのですが、「黒色」となっている点。2点目の「サイズ」は、フェイスの径が、1枚目は通常サイズですが、2枚目は、1枚目よりも小さい径になっている事に気づくと思います。

↓写真1(通常の場合)

↓写真2(意匠配慮した場合)

以降では、非常照明の意匠性について、写真や仕様を基に、主要3社(パナソニック、東芝ライテック、三菱電機)の製品を比較表にまとめたので紹介していきます。

◆比較表(色のラインナップ)

色のラインナップについて、下記の表に纏めます。「黒色」の非常照明は、2~3年前はパナソニックのみでしたが主要3社において、販売されております。また、販売価格は一律となっていますので、選定する施工会社様によってコストに違いが出てくるかと思います。なお、黒色の非常照明が使用できるのは、天井高さが6mまでの空間である為、6m以上の天井高さの場所、白色や黒色以外の色を選定したい場合は、「指定色塗装」が必要となります。

No. 
会社パナパナ東芝東芝三菱三菱
画像
※引用
ホワイトブラックホワイトブラックホワイトブラック
φ120mmφ120mmφ120mmφ120mmφ120mmφ120mm
仕様天高6m
電源内蔵
埋込型
天高6m
電源内蔵
埋込型
天高6m
電源内蔵
埋込型
天高6m
電源内蔵
埋込型
天高6m
電源内蔵
埋込型
天高6m
電源内蔵
埋込型
定価¥84,500¥88,200¥84,500¥88,200¥84,500¥88,200
表:非常用照明(電源内蔵型)比較表

◆比較(サイズのラインナップ)

サイズのラインナップについて、下記の表に纏めます。LED非常照明(電源内蔵型)が発売された頃(2017年頃)は、φ170の非常照明でした。しかし、数年前に小口径タイプが発売され、フェイスの径がφ170からφ120が一般的となってきました。ただ、ハロゲン電球時代の非常照明から同様に、「電源別置型(建物の電気室内に蓄電池を置くパターン)」の場合は、LED化された現在でも変わらず、φ120よりさらに小さい「φ72mm」となっています。

No. 
会社パナパナ東芝三菱
画像
※引用
ホワイトホワイトホワイトホワイト
φ120mmφ72mmφ72mmφ75mm
仕様天高6m
電源内蔵
埋込型
天高6m
電源別置型
埋込型
天高6m
電源別置型
埋込型
天高6m
電源別置型
埋込型
定価¥84,500¥42,300¥42,300¥42,300
表:非常用照明(電源別置型)比較表

※引用

↓パナソニックホームページより引用
電源別置型 専用型 | 非常灯(LED非常用照明器具)| Panasonic

↓東芝ライテックホームページより引用
LED非常用照明器具 専用形 双方向リモコン自己点検機能付き | LED屋内照明器具 | 施設・屋外照明器具 | 商品紹介 | 東芝ライテック(株) (tlt.co.jp)

↓三菱電機ホームページより引用
ラインアップ:非常用照明器具/LED誘導灯|三菱電機 照明 (mitsubishielectric.co.jp)

少し大きな建物以上(1~3万㎡以上)とならない限り、電源別置型の非常照明を使用することはないかと思いますが、主要3社ともに、小口径(φ72~75mm)の非常照明のラインナップはあります。

ただ、気を付けて頂きたいのは、電源別置型の非常照明には、「黒色」が標準色として用意されていない為、現在(2023年8月時点)では、電源別置型を採用する場合は、下記の事例のように「指定色塗装」をせざるを得ません。

◆まとめ

今回は、非常照明の意匠配慮の方法について、まとめました。非常照明や、非常放送設備といった「防災設備」は、国土交通大臣や総務大臣の「認定品」でなくてはならない為、各社の製品について、出来ることとできない事、さらにコストまでを把握し、提案していくことが重要と思います。非常照明の意匠配慮についての「勘所」は下記のとおりです。

<勘所>
・電源内蔵型の非常照明には、標準色として「白色」と「黒色」のラインナップがある。
・電源別置型の非常照明には、標準色として「白色」しかない。
・拘りの場所は「指定色塗装」とする。
・サイズは電源内蔵型は「φ120」、別置型は「φ72~75」が最小寸法。

本内容が、皆様のお役に立てればと思います。

以上、また投稿します。

KC

非常用放送の「スピーカー」のデザイン配慮について

非常用放送設備が必要となる建物は、消防法で定める収容人員(建物用途によって異なる)によって決まります。例えば、ホテルや商業施設の場合、300人以上となったら、設置が義務となります。建物の意匠性に配慮するためには、選定する「スピーカー」を如何に、デザインにマッチしたものとするかが重要となります。今回は、「非常用放送設備のスピーカー」に着目し、どのようなデザインのものがあるかを紹介します。

◆目次

  • 気づき1(屋外スピーカー)
  • 各社の比較1(屋外スピーカー)
  • 事例1(指定色塗装)
  • 気づき2(屋内スピーカー)
  • 各社の比較2(屋内スピーカー)
  • 事例2(小口径スピーカーの選定)
  • まとめ(勘所)

◆気づき1(屋外スピーカー)

下記の写真は、ホテルのエントランス前にある、車寄せの為の庇に設置されている、非常放送用のスピーカーです。茶色のパネルに白色のスピーカーが目立ってしまっています。最近までは、屋外用のスピーカーは「アイボリー色(クリーム色)」しか販売されておらず、スピーカーの形も各社1種類のみという、意匠泣かせの状態です。今回は、屋内と屋外の事例を基に、スピーカー選びの為の、各社のラインナップを紹介します。

◆各社の比較1(屋外スピーカー)

まずは、現在(2023年8月時点)の屋外スピーカーのラインナップは、下記のとおりです。調べていて驚いたのですが、長年、ラインナップが変わらなかった屋外スピーカーでしたが、ついにJVCケンウッド様から、スタイリッシュな屋外スピーカーが発売されたとのことです。かなりの朗報だと思いますので、共有させていただきます。

スピーカー1スピーカー2スピーカー3
【NEW】
スピーカー4
【NEW】
会社TOAJVCケンウッドJVCケンウッドJVCケンウッド
商品画像
※引用元は下記の通り
用途屋外屋外屋外屋外
サイズφ220×80.5(H)mmφ230×78(H)mmφ150×92(H)mmφ150×92(H)mm
表:屋外スピーカーの比較表

※画像引用元:TOA株式会社様のホームページ

天井スピーカー | スピーカー | TOA株式会社

※画像引用元:株式会社JVCケンウッド様のホームページ

スピーカー(放送設備) | JVC

◆事例1(メーカーによる指定色塗装)

下記の写真は、先ほどのアイボリー色のスピーカーの状態から、茶色に塗りなおしてもらった写真です。ホテルのエントランスの「顔」となる部分の為、目に見えるすべての箇所に気を遣う必要があったため、少し時間はかかりましたが(およそ3カ月ぐらい)、メーカーへ依頼し、庇と同色系に塗って頂いたものです。

指定色塗装をする場合は、もちろん通常価格の2倍以上(施工会社様に依ります)のコストがかかる為、事前に設計図書に「指定色塗装」である旨を記載しておく必要があります。

◆気づき2(屋内スピーカー)

下記の写真は、マンションの中廊下の天井に、「パネル径φ180mm」のスピーカーを設置している写真です。なお、以前までは、屋内のスピーカーといえば「パネル径φ180mm」のスピーカーであったのですが、最近は「パネル径φ120mm」のものが販売されております。その為、この空間においては、スピーカーが主張する必要は無いと思いと考える為、φ120mmのスピーカーを選択すれば良かったと思います。

◆各社の比較2(屋内スピーカー)

現在(2023年8月時点)の屋内の代表的なスピーカーのラインナップは、下記のとおりです。小口径のパネルのタイプ(スピーカー2と4)でも、メーカーによってはサイズに違いがあり、通常の大きさであるφ180mmのタイプでも、TOAとJVCで、枠のデザインに違いがあることが分かると思います。

スピーカー1スピーカー2
【NEW】
スピーカー3スピーカー4
【NEW】
会社TOATOAJVCケンウッドJVCケンウッド
商品画像
※引用元は下記の通り
用途天井埋込天井埋込天井埋込天井埋込
サイズφ180mmφ120mmφ180mmφ112mm

(アルミ)
白、黒、
シルバー
白、黒白、シルバー、
アイボリー
白、黒
コスト
(定価)
約1万円約1.1万円約1万円約1.1万円
表:屋外スピーカーの比較表

※画像引用元:TOA株式会社様のホームページ

天井スピーカー | スピーカー | TOA株式会社

※画像引用元:株式会社JVCケンウッド様のホームページ

スピーカー(放送設備) | JVC

◆事例2(小口径スピーカーの採用)

下記の写真は、ホテルの客室にて、小口径のスピーカー(パネル黒色)を採用している写真です。一番手前の黒丸のものがスピーカーです。スプリンクラーヘッド(φ60程度)やダウンライト(φ80mm)、非常照明(φ72mm)と比較しても、さほど目立たず、上手に天井に溶け込んでいるかと思います。

◆まとめ(勘所)

今回は、非常用放送設備の「スピーカー」の意匠配慮方法について、紹介いたしました。日本で、非常放送設備と言えば、主にTOAさんとJVCさんが挙げられます。両社のラインナップを頭に入れておくことが、意匠デザインへの配慮に繋がると思います。

<勘所>
・屋外スピーカーは、種類が少ないため、兎にも角にも「指定色塗装」とする。
・屋内スピーカーは、小口径プレートを選ぶ。

以上、本ブログが皆様のお役に立てればと思います。

また投稿いたします。

KC

「自動販売機」の意匠性の配慮について

建物が出来上がったら、家具や備品を設置し、建物の使い勝手や利便性の向上を行い、運営・営業できるようにすると思います。ただ、建物のデザインに配慮し、拘りをもって完成した建物でも、その後の家具や備品類まで配慮しなければ、当初イメージしていたお洒落な建物ではない印象を受けることがあります。その一つの例として、自動販売機が挙げられます。今回は、自動販売機に対して意匠性の配慮方法について、紹介します。

◆目次

  • 気づき
  • 事例1(自動販売機の色)
  • 事例2(自動販売機の囲い)
  • 事例3(コンセントの位置と高さ)
  • 事例4(プレートの色)
  • まとめ(勘所)

◆気づき

下記の写真は、商業施設内にて、「自動販売機」が設置されている写真です。建築側の仕上げは、拘って高級な仕上げにしているかと思います(天井はボードに木目調シート貼り、壁は石貼り、床はタイル貼り?)。

しかし、自動販売機は赤色となっており、建築の仕上げに目はいかず、自動販売機の色の主張が強くなっていると思います。また、自動販売機の色の他、この写真からの、「気づき」としては、下記の3点を挙げたいと思います。

  • 「自動販売機の色」の主張が強い為、意匠に配慮出来ないか。
  • 「コンセントの接続箇所」が、明らかに見えている為、もっと配慮出来ないか。
  • 自販機の「架台プレートの色」が、床材と異なる色の為、配慮できないか。

今回は、上記3点を中心に、意匠配慮の方法を紹介していきます。

◆事例1(自動販売機の色)

下記の写真は、自動販売機に3M社製の「ダイノックシート(塩化ビニル樹脂シート)」を貼った事例です。天井・壁・床に合わせ、木目調のシートが貼られており、自動販売機の色の主張が抑えられている良い事例だと思います。

なお、シートを貼ろうとすると、「自動販売機が目立たなくなる」という理由で、反対する意見も上がってくる事があるかと思いますが、自販機自身が発光するため、シートを貼ってもなお、目立っている為、その心配は大丈夫かと思います。

◆事例2(自動販売機の囲い)

下記の写真は、空港内に設置された自動販売機を造作家具で囲った事例です。意匠に配慮していると言えば、しているのですが、先ほどの事例1(ダイノックシート貼り)と比較すると、効果はあまり感じられないかと思います。やはり効果が大きいのは、「シート貼り」とする方が良いと考えます。

◆事例3(コンセントの位置と高さ)

下記の写真は、自動販売機を「ダイノックシート貼り」とし、意匠に配慮されているものの、コンセントの位置と高さの配慮が不足していた事例です。

自動販売機用のコンセントは、一台に1つ設けるのが良いと考えます。また、自動販売機の標準高さは「1830mm」と定められている為、特殊な自動販売機でなければ、コンセント芯の高さを、「FL+1900~1950mm」とするのが良いかと思います。

ここで注意が必要なのは、アルコール自販機は、高さが2000以上となることが多いです。特殊な自販機を設置する場合は、一つずつ確認することをお勧めします。

◆補足(日本自動販売システム機械工業会)

以下のリンク先より、自動販売機の高さは、「1830mm~2007mm」と定められている旨が記載されております。ご参照ください。

日本自動販売システム機械工業会 | インフォメーション館 | よくあるご質問 (jvma.or.jp)

◆事例4(プレートの色)

下記の写真の、自動販売機の足元に設置されている「金属プレート」に着目してください。この写真では、「黒色」のプレートが設置されています。これまでの写真を見返すと、「茶色」「白色」「クリーム色」と、色の種類は豊富に用意されていることが分かります。意匠性に配慮するためには、自動販売機の色に合わせるのではなく、「床材の色」に合わせる方が、馴染むと考えます。

なお、このプレートは、自販機の荷重を分散させ床材を傷つけないよう設けるもので、標準で設置されます。自動販売機の設置会社が、用意するものである為、色の要望を伝える必要があります。

◆まとめ(勘所)

今回は「自動販売機の意匠性の配慮」について、紹介しました。まずは、設計段階で目立つ位置に設置しないことは大前提ですが、建物の意匠性に配慮するためには、自動販売機の色、コンセント位置と高さ、プレートの色に配慮すべきと考えます。その為、今回の勘所としては、下記のとおりです。

<勘所>
・自動販売機は、ダイノックシートを貼る
・コンセントは1台に対し1つずつ設置する。(自販機のコードが見えないようにする為)
・コンセント高さは芯1950mmを推奨。(自販機高さの標準で1830mmと定めあり)
・架台のプレートは、床材に色を合わせる。

以上、本投稿が、皆様のお役に立てればと思います。

また投稿します。

KC

地上設置の「ケーブルラック」で気を付けたいこと

屋外で舗装されていない「土」の上にケーブルラックを設置する際、気を付けなければいけないことがあります。どういった点に気を付けるべきか、事例を基に、以下で紹介していきます。

◆目次

  • 気づき
  • 良い事例1(砂利敷)
  • 良い事例2(ラックカバー設置)
  • まとめ

◆気づき

下記の写真は、物流施設の外構部分で、利用者があまり立ち入らない場所に設置されているケーブルラックです。開発工事で、法面を成形し、その地盤面にケーブルラックを設置している事例です。

下記の写真は、上の写真のUP画像です。雨が上から地面に落ちて、跳ね返った泥水が、ケーブルに付着し、ケーブルが土で覆われてしまっているのが分かると思います。ケーブルは電気が流れると「熱」を持つため、「放熱」が必要です。しかし、土が付着すると、正しく放熱が出来なくなる可能性があります。(補足ですが、国交省のケーブル許容電流の計算式に、「土が付着した場合」という低減係数は用意されていない為、土は付着することは、宜しくないかと思います。)

◆良い事例1

では、一般的にどうすればよいかですが、下記の写真のように、外構部の仕上げは、「砂利敷き」または「アスファルト舗装」とすることが良いと考えます。

◆良い事例2

土が付着するのを防ぐには、下記の写真のように、2段目も「ラックカバー」を設置する事が良いと思います。利用者が立ち入らない「屋上」にケーブルラックを設置する際は、2段目以降に「カバー」は設置しないかと思いますが、「利用者が容易に触れてしまう場合」や、「汚れの付着が懸念される場合」はカバーを設置することをお勧めします。建築工事に頼らず、設備工事だけで対応するのであれば、「ラックカバー」は、設計時にスペックインしておくのが良いと思います。

◆まとめ

今回は、少しマニアックですが、屋外ケーブルラックを設置する際に、気を付けたいことについてまとめました。勘所は以下の通りです。

<勘所>
・外構の仕上げは、「砂利敷」または「アスファルト舗装」になっているか確認
・「利用者が容易に触れてしまう場合」や、「汚れの付着が懸念される場合」はカバーを設置

以上です。また投稿します。

KC

階数表示等の「サイン用の照明」を当て方の配慮について

天井プロット図で、ダウンライトの配置を検討している際、ダウンライトを綺麗に並べようと思うが為、ダウンライトが均等となる間隔や、ラインを揃える事ばかり考えがちですが、サインの位置には、サインを照らす用の照明を設置することをお勧めします。本日は、その理由を説明します。

◆目次

  • 気づき
  • 事例1
  • 事例2
  • 良い事例
  • まとめ

◆気づき

ダウンライトの配置は、施工前に必ず確認していると思います。しかし、図面上の「綺麗さ」を求めるがあまり、出来上がった姿をあまりイメージ出来ていない事が多々あります。その一例として、エレベータ横のフロアサインに当たる照明の事例を紹介します。

◆事例1

下の写真は、ユニバーサルダウンライトで、サインを当てようと狙ったが、首振りの角度の限界を迎え、正しく照射できなかった事例です。ダウンライトを廊下の中心に配置しようと考えてしまうため、このような状況になりやすいと思います。

◆事例2

下の写真も同様に、他のダウンライトの並びに合わせ、照明を設置し、サインを当てようと狙ったが、首振りの角度の限界を迎え、正しく照射できなかった事例です。

◆良い事例

サインに光を当てようと設置する照明は、専用のダウンライトを設けるのが良いと考えます。

また、他の並びから外れてでも、グレアレスダウンライトを使用すれば、照明の並びに合っていなくても、気にならないので、お勧めです。

◆まとめ

サインの位置には、サインを照らす用の「専用の照明」を設置することをお勧めします。

<勘所>
・サインを照らすためには、「専用の照明」を設置する
・天井伏せ図のプロット配置は気にしない
 (グレアレスダウンライトにすれば、利用者は気にならない。)

以上です。また投稿します。

KC