自火報と消火栓の「表示灯」の種類について

今回は、自動火災報知設備(通称:自火報)や消火栓(屋内消火栓や屋外消火栓)に設置されている「表示灯」に焦点を当てて、意匠配慮事例を紹介します。表示灯と言えば、「三角錐の形(凸型)」のもの一択でしたが、現在は、「フラット型」や、5~6年前に各社(能美防災、ホーチキ、パナソニック)から発売された「リング型」のものもあります。良い事例を基に、紹介していきます。

◆目次

  • 気づき
  • 良い事例1(リング型)
  • 良い事例2(フラット型)
  • まとめ(勘所)

◆気づき

下記の写真は、三角錐の形(凸型)の表示灯が設置されたパターンです。自火報の発信機(火災時に利用者が押すボタン)用の表示灯と、屋内消火栓用の表示灯が、1つの表示灯で兼用されているものです。下記の写真の建物用途は、事務所ビルで、一般的な消火栓BOXと比較すると、BOXはデザインされたもの(スチール枠が無く、指定色塗装の仕様)を使用しているのにも関わらず、表示灯が通常のもの(三角錐の形)となっており、非常に惜しい事例です。なお、ホテルや商業施設などの、不特定多数が利用する施設である場合は、表示灯を「フラット型」または「リング型」とする配慮は、必須事項と考えています。

補足として、自火報の発信機(押しボタン)の為の表示灯は、「50mの包含円」の範囲に1つ設置しなければならず、屋内消火栓は「25mの包含円」の範囲に1つ設置しなければなりません。その為、一般的には、自火報の発信機用の表示灯と屋内消火栓の位置を示すための表示灯は、兼用される事が多いです。

◆良い事例1

下記の写真は、物流倉庫の事務所部分の廊下の写真です。「三角錐型」の表示灯と比較すると、「リング型」の表示灯は、デザイン的な主張を抑えて、スッキリしていることが分かると思います。なお、自火報図面の確認の際、図面に「表示灯(リング型)」の記載があるかどうかを、確認することが重要です。

ちなみに、下記の写真のように、各社(左:ホーチキ、中:パナソニック、右:能美防災)のリング型の表示灯は微妙にデザインが異なります。個人的に、最もデザインが良いと思うのは、「能美防災のリング型表示灯(一番右)」です。見付けの発光面の面積が小さく、とても良いと思います。

◆良い事例2

下記の2枚の写真は、事務所の廊下に設置された「表示灯」です。こちらの表示灯は、「フラット型」のタイプです。物件によっては、リング型を使用せず、「フラット型」の表示灯で統一されていることもあります。

特に2枚目のように、「屋内消火栓」が単体で設置されているときは、「リング型」の表示灯が使えません。理由は、リング型の表示灯は、商品の性質上、自火報メーカーが作っており、自火報の発信機が一体となっている為です。その為、屋内消火栓が単体で設置されるときは、「フラット型」とするか、従来の「三角錐型」とするかの2択です。その為、消火栓の図面確認の際は、図面に「表示灯(フラット型)」の記載があるかどうかを、確認することが重要です。

ちなみに、「フラット型」のタイプにも、色々と種類があります。例えば下記のような、BOXから出っ張りがないような「フラット型」の表示灯もある為、フラット型だからと安心せず、消火栓メーカーに表示灯の「高さ(壁からの出っ張り具合)」を確認する必要があります。

◆まとめ(勘所)

今回は、表示灯の種類について纏めました。勘所は下記のとおりです。

<勘所>
・利用者動線上には、「三角錐型の表示灯」の使用は避ける
・自火報図面の表示灯が、「リング型」となっているか確認する
・消火栓図面の表示灯が、「フラット型」となっているか確認する
・「フラット型」の場合、出っ張りがどの程度か、確認する

本ブログが、皆様のお役に立てればと思います。

以上、また投稿します。

KC

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