建物が出来上がったら、家具や備品を設置し、建物の使い勝手や利便性の向上を行い、運営・営業できるようにすると思います。ただ、建物のデザインに配慮し、拘りをもって完成した建物でも、その後の家具や備品類まで配慮しなければ、当初イメージしていたお洒落な建物ではない印象を受けることがあります。その一つの例として、自動販売機が挙げられます。今回は、自動販売機に対して意匠性の配慮方法について、紹介します。
◆目次
- 気づき
- 事例1(自動販売機の色)
- 事例2(自動販売機の囲い)
- 事例3(コンセントの位置と高さ)
- 事例4(プレートの色)
- まとめ(勘所)
◆気づき
下記の写真は、商業施設内にて、「自動販売機」が設置されている写真です。建築側の仕上げは、拘って高級な仕上げにしているかと思います(天井はボードに木目調シート貼り、壁は石貼り、床はタイル貼り?)。
しかし、自動販売機は赤色となっており、建築の仕上げに目はいかず、自動販売機の色の主張が強くなっていると思います。また、自動販売機の色の他、この写真からの、「気づき」としては、下記の3点を挙げたいと思います。
- 「自動販売機の色」の主張が強い為、意匠に配慮出来ないか。
- 「コンセントの接続箇所」が、明らかに見えている為、もっと配慮出来ないか。
- 自販機の「架台プレートの色」が、床材と異なる色の為、配慮できないか。
今回は、上記3点を中心に、意匠配慮の方法を紹介していきます。
◆事例1(自動販売機の色)
下記の写真は、自動販売機に3M社製の「ダイノックシート(塩化ビニル樹脂シート)」を貼った事例です。天井・壁・床に合わせ、木目調のシートが貼られており、自動販売機の色の主張が抑えられている良い事例だと思います。
なお、シートを貼ろうとすると、「自動販売機が目立たなくなる」という理由で、反対する意見も上がってくる事があるかと思いますが、自販機自身が発光するため、シートを貼ってもなお、目立っている為、その心配は大丈夫かと思います。
◆事例2(自動販売機の囲い)
下記の写真は、空港内に設置された自動販売機を造作家具で囲った事例です。意匠に配慮していると言えば、しているのですが、先ほどの事例1(ダイノックシート貼り)と比較すると、効果はあまり感じられないかと思います。やはり効果が大きいのは、「シート貼り」とする方が良いと考えます。
◆事例3(コンセントの位置と高さ)
下記の写真は、自動販売機を「ダイノックシート貼り」とし、意匠に配慮されているものの、コンセントの位置と高さの配慮が不足していた事例です。
自動販売機用のコンセントは、一台に1つ設けるのが良いと考えます。また、自動販売機の標準高さは「1830mm」と定められている為、特殊な自動販売機でなければ、コンセント芯の高さを、「FL+1900~1950mm」とするのが良いかと思います。
ここで注意が必要なのは、アルコール自販機は、高さが2000以上となることが多いです。特殊な自販機を設置する場合は、一つずつ確認することをお勧めします。
◆補足(日本自動販売システム機械工業会)
以下のリンク先より、自動販売機の高さは、「1830mm~2007mm」と定められている旨が記載されております。ご参照ください。
◆事例4(プレートの色)
下記の写真の、自動販売機の足元に設置されている「金属プレート」に着目してください。この写真では、「黒色」のプレートが設置されています。これまでの写真を見返すと、「茶色」「白色」「クリーム色」と、色の種類は豊富に用意されていることが分かります。意匠性に配慮するためには、自動販売機の色に合わせるのではなく、「床材の色」に合わせる方が、馴染むと考えます。
なお、このプレートは、自販機の荷重を分散させ床材を傷つけないよう設けるもので、標準で設置されます。自動販売機の設置会社が、用意するものである為、色の要望を伝える必要があります。
◆まとめ(勘所)
今回は「自動販売機の意匠性の配慮」について、紹介しました。まずは、設計段階で目立つ位置に設置しないことは大前提ですが、建物の意匠性に配慮するためには、自動販売機の色、コンセント位置と高さ、プレートの色に配慮すべきと考えます。その為、今回の勘所としては、下記のとおりです。
<勘所> ・自動販売機は、ダイノックシートを貼る ・コンセントは1台に対し1つずつ設置する。(自販機のコードが見えないようにする為) ・コンセント高さは芯1950mmを推奨。(自販機高さの標準で1830mmと定めあり) ・架台のプレートは、床材に色を合わせる。
以上、本投稿が、皆様のお役に立てればと思います。
また投稿します。
KC